初愛むすび




6限目=数学。


隣のいびきがうるさい…



授業にならない…
集中なんてできっこない



「お、き…たく…ん」


数学の先生、井上が沖田の机を軽く叩く。



「…先生? 進也はそんなんじゃ起きないっすよ」


あたしは、先生に軽く忠告して、“起こしてあげましょか?”と聞く。



「じ、ゃ…お願…い」



「はぁ… 進也は、こーしたら、絶対起きる!!」


ため息をついて、あたしは進也の髪の毛を思いっきり引っ張る



「っでっ!!?」



叫びが教室に響く。


あたしは、手を放して



「起きたか タコ介。」


笑いまじりで、ピースする。



「なんやっ? 起こすなやっ? つかなんで髪の毛引っ張んねん?ハゲるやろっ」



「起きへんからやろ」



「起きへんでいいわ」



「それやったらもう一回寝たらいいやん」



「もー寝れんわ! アホっ」



「んじゃ起きて正解や」



「まちがい! 大間違いやー」



「なにがやっ?」



「おまえが起こしたからやっ」



「ええやん、井上が困っ…」



あ。
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