嘘つきと本音の間
嘘が無さすぎて
あなたは私を好きと言って、
私もあなたが好きと言った。
そのまんまの私を
『否定しない考え方をするね』
とあなたは、誉めてくれた。
自分に自身が無いのか
あなたは何時も怯えるように私の思考を
あれこれ探っていたね。
『全部、受けとめるよ』
そう言った私の言葉を信じてくれた事。
凄く凄く嬉しかった。
でも。
あなたは反面苦しかったのかもしれない。
私は嬉しさの余りに気づけなかったのかもしれない。
『嘘が無さすぎて…』
と言って姿を消してしまったあなたの、
続きの言葉は今は聞くことも叶わないけれど。
自分にも他人にも正直になれないと言っていたあなた。
あれこれ構わず正直になりすぎていた私。
両極端だったから惹かれたのかもしれない。
互いに傷付いたかもしれない。
それでも、あなたには笑顔で居て欲しいと願う私は
傲慢なのかもしれないね。
せめて、二人の記憶だけでも嘘の無かった出会いであると
信じたい。
本音しか言えない私に、嘘の台詞を残して
あなたは居なくなった。