常務の秘密が知りたくて…
ドアノブを回し中に入ると急いで電気をつける。玄関から入ってすぐに台所があり和室が二間続く昔のアパートによくある間取りだ。隙間風がよく通るので部屋の中でも寒い。
そのとき携帯に着信があって音が響いた。確認すると相手は常務だったので私は急いで電話に出る。
「お疲れ様です、白須です」
「無事に家に着いたか?」
なんの前触れもなく尋ねられた内容に私は面食らった。
「はい。もう家です」
「ならいい。明日、遅刻するなよ」
それだけ言うとこちらが何かを言う前に一方的に電話は切られてしまった。たったそれだけのやりとりであまり実感はわかなかったが、どうやら常務は私のことを心配してくれたらしい。
なんとなく常務が傍におく女性に困らないのがよくわかった。こういう風に優しくされたら秘書だから、というのも忘れて期待して好きになってしまうのかもしれない。
敬語を使わなくてもいいなんて言ってたくらいだし。なんとも罪作りな人だなと思いつつ余計な心配をかけさせてしまって申し訳ない気持ちになった。
別に見栄を張ってここに住んでいることを隠しているわけではないが今までの経験上、何故ここに住んでいるのかと尋ねられて理由をいちいち説明するのが億劫だった。それになんとなく常務には知られたくなかったのだ。
私は時計を確認し、とりあえず常務に言われた通り遅刻しないように今日はもう休もうと支度を始めた。
そのとき携帯に着信があって音が響いた。確認すると相手は常務だったので私は急いで電話に出る。
「お疲れ様です、白須です」
「無事に家に着いたか?」
なんの前触れもなく尋ねられた内容に私は面食らった。
「はい。もう家です」
「ならいい。明日、遅刻するなよ」
それだけ言うとこちらが何かを言う前に一方的に電話は切られてしまった。たったそれだけのやりとりであまり実感はわかなかったが、どうやら常務は私のことを心配してくれたらしい。
なんとなく常務が傍におく女性に困らないのがよくわかった。こういう風に優しくされたら秘書だから、というのも忘れて期待して好きになってしまうのかもしれない。
敬語を使わなくてもいいなんて言ってたくらいだし。なんとも罪作りな人だなと思いつつ余計な心配をかけさせてしまって申し訳ない気持ちになった。
別に見栄を張ってここに住んでいることを隠しているわけではないが今までの経験上、何故ここに住んでいるのかと尋ねられて理由をいちいち説明するのが億劫だった。それになんとなく常務には知られたくなかったのだ。
私は時計を確認し、とりあえず常務に言われた通り遅刻しないように今日はもう休もうと支度を始めた。