常務の秘密が知りたくて…
「で、お前はどうしてわざわざオンボロアパートに住んでるんだ?」
翌日、遅刻することなく出勤しいつものようにお茶を出したところで常務の口から出た言葉に私は文字通り固まってしまった。
目の前の常務は書類を退屈そうに眺めているので改めて私は自分の耳を疑う。どうして知られてしまったのだろうか。何も言えずに目だけで訴えるとそれを悟ったかのように常務が続ける。
「昨日、タクシーの親父があそこら辺だとすごく古いアパートしかないって言ってたからな。お前と同じくらいの娘がいるそうだから妙に心配してたぞ」
余計なお世話もいいところだ。確かに周りには他にアパートらしきものはないけれど……
「人事課に確認したらお前入社してから半年で今のところに引っ越したんだな」
「人の個人情報を勝手に調べないでください!」
「個人情報っていっても会社に出してるものだろ?」
全然悪びれていない常務に私はこれ以上、責めるのも無駄骨だと感じた。とっとと仕事を始めようと質問を無視して席に着こうとする。
「うちの給料ならもう少しいいところに住めるだろ?」
「常務には関係ありません」
「関係あるだろ。お前は俺の秘書だからな」
その言い草が妙に腹が立った。私は常務の所有物でもなんでもない。今までの秘書たちはそう言えばよかったのかもしれないが、私は線引きをきっちりさせたい。
「秘書だからってそこまで気にしてくださらなくても結構です」
だからか、つい頑なな言い方になってしまったが間違ったことは言っていないはずだ。仕事のことならまだしも完全にプライベートな内容だし。
「そうだな」
言い分に納得してくれたのか、あっさりと常務は引き下がってくれたので私も頭を切り替える。
翌日、遅刻することなく出勤しいつものようにお茶を出したところで常務の口から出た言葉に私は文字通り固まってしまった。
目の前の常務は書類を退屈そうに眺めているので改めて私は自分の耳を疑う。どうして知られてしまったのだろうか。何も言えずに目だけで訴えるとそれを悟ったかのように常務が続ける。
「昨日、タクシーの親父があそこら辺だとすごく古いアパートしかないって言ってたからな。お前と同じくらいの娘がいるそうだから妙に心配してたぞ」
余計なお世話もいいところだ。確かに周りには他にアパートらしきものはないけれど……
「人事課に確認したらお前入社してから半年で今のところに引っ越したんだな」
「人の個人情報を勝手に調べないでください!」
「個人情報っていっても会社に出してるものだろ?」
全然悪びれていない常務に私はこれ以上、責めるのも無駄骨だと感じた。とっとと仕事を始めようと質問を無視して席に着こうとする。
「うちの給料ならもう少しいいところに住めるだろ?」
「常務には関係ありません」
「関係あるだろ。お前は俺の秘書だからな」
その言い草が妙に腹が立った。私は常務の所有物でもなんでもない。今までの秘書たちはそう言えばよかったのかもしれないが、私は線引きをきっちりさせたい。
「秘書だからってそこまで気にしてくださらなくても結構です」
だからか、つい頑なな言い方になってしまったが間違ったことは言っていないはずだ。仕事のことならまだしも完全にプライベートな内容だし。
「そうだな」
言い分に納得してくれたのか、あっさりと常務は引き下がってくれたので私も頭を切り替える。