常務の秘密が知りたくて…
「チョコレートだ。お前にやる」
「え、常務が頂いたんじゃないんですか?」
バレンタインでもないのにどういった経緯で常務の元へやってきたのかは不明だが、きっとそれなりの品なのだろう。しかし常務はきっぱりと言い放った。
「俺は食わない。こういうの好きだろ」
「……女子がみんな甘いものが好きだと思ったら大間違いですよ」
迷いがない常務の言い方にひねくれたことしか言えなかった。すると常務は怒るどころか目を白黒させて信じられないという表情をしている。それに驚いたのはこっちだった。
「甘いものが嫌いなのか?」
「嫌いではありませんが、あまり得意でもないです」
本当のことなのにそう答えるのがなんだか悪い気がする。それにしたってそんなに驚くようなことだろうか。常務の周りには甘いものが好きな女性しかいなかったのだろうか。
そんな考えに至ると私の胸は痛んだ。きっと私じゃなかったら喜んで受け取ったのかもしれない。そんなやりとりが今までにあったのかと思うとなんだか悲しかった。だからか
「……頂いてかまいませんか?」
自分でも思いがけない言葉が出てしまった。
「得意ではないのにか?」
「でも嫌いじゃないですから」
なんだか子供の屁理屈みたいだ。あんな言い方をすれば誰だって渡したくもなくなるだろう。常務も不信感溢れる目でこちらを見ている。
「え、常務が頂いたんじゃないんですか?」
バレンタインでもないのにどういった経緯で常務の元へやってきたのかは不明だが、きっとそれなりの品なのだろう。しかし常務はきっぱりと言い放った。
「俺は食わない。こういうの好きだろ」
「……女子がみんな甘いものが好きだと思ったら大間違いですよ」
迷いがない常務の言い方にひねくれたことしか言えなかった。すると常務は怒るどころか目を白黒させて信じられないという表情をしている。それに驚いたのはこっちだった。
「甘いものが嫌いなのか?」
「嫌いではありませんが、あまり得意でもないです」
本当のことなのにそう答えるのがなんだか悪い気がする。それにしたってそんなに驚くようなことだろうか。常務の周りには甘いものが好きな女性しかいなかったのだろうか。
そんな考えに至ると私の胸は痛んだ。きっと私じゃなかったら喜んで受け取ったのかもしれない。そんなやりとりが今までにあったのかと思うとなんだか悲しかった。だからか
「……頂いてかまいませんか?」
自分でも思いがけない言葉が出てしまった。
「得意ではないのにか?」
「でも嫌いじゃないですから」
なんだか子供の屁理屈みたいだ。あんな言い方をすれば誰だって渡したくもなくなるだろう。常務も不信感溢れる目でこちらを見ている。