常務の秘密が知りたくて…
「お前も好きなんだな」
「え、常務もこの花が好きなんですか?」
あまりにも意外で思わず尋ねてしまったが、常務はその問いには答えてくれなかった。
「にしても、彼岸花が好きだなんて変わっているな」
「彼岸花じゃありません。ダイヤモンドリリーです!」
わざと話を逸らすかのように言われ、違和感を抱きながらも言い返す。確かにダイヤモンドリリー、正式名称ネリネはヒガンバナ科で形も少し似ているが毒もないし別物だ。
赤、白、ピンクなど優しい色合いに光が当たると花びらが輝いて見えることから、そんな名前がついたらしい。
「あまり違いがわからないが、なんでその花が好きなんだ?」
「綺麗だからっていうのもありますけど、花言葉もとてもいいんですよ」
「興味ないな」
「でしょうね」
私は苦笑する。常務が花言葉に興味津々ならそれはそれで面白かったりもするけど。常務がコートを脱ごうとするのでそれを受け取ろうとさらに傍に寄った。
「で、どういう意味があるんだ?」
いつものようにコートを受け取ったところで言われて、何のことか私は意味がわからなかった。一瞬だけ二人の間に沈黙が流れると常務は眉間に皺を寄せる。
「その花の意味。参考までに聞いといてやる」
ああ、と私は合点がいったが、そんな上から目線に嫌々そうに訊かなくても。それでも尋ねられたのだから答えないわけにもいかない。
「ダイヤモンドリリーの花言葉は『また会う日を楽しみに』って意味なんです。他にも『幸せな思い出』とか。素敵じゃないです?」
笑顔で告げた私に対し、常務の表情は益々険しいものになった。自分で訊いておいてその表情はないだろう。そもそも、そんな不快になるようなことを私は言ったのだろうか。
さすがに疑問を口にしようとしたら、常務は何も言わずに背中を向けてさっさと給湯室を出て行ってしまった。私もその場を急いで片付けて、今日の報告に向かう。
「え、常務もこの花が好きなんですか?」
あまりにも意外で思わず尋ねてしまったが、常務はその問いには答えてくれなかった。
「にしても、彼岸花が好きだなんて変わっているな」
「彼岸花じゃありません。ダイヤモンドリリーです!」
わざと話を逸らすかのように言われ、違和感を抱きながらも言い返す。確かにダイヤモンドリリー、正式名称ネリネはヒガンバナ科で形も少し似ているが毒もないし別物だ。
赤、白、ピンクなど優しい色合いに光が当たると花びらが輝いて見えることから、そんな名前がついたらしい。
「あまり違いがわからないが、なんでその花が好きなんだ?」
「綺麗だからっていうのもありますけど、花言葉もとてもいいんですよ」
「興味ないな」
「でしょうね」
私は苦笑する。常務が花言葉に興味津々ならそれはそれで面白かったりもするけど。常務がコートを脱ごうとするのでそれを受け取ろうとさらに傍に寄った。
「で、どういう意味があるんだ?」
いつものようにコートを受け取ったところで言われて、何のことか私は意味がわからなかった。一瞬だけ二人の間に沈黙が流れると常務は眉間に皺を寄せる。
「その花の意味。参考までに聞いといてやる」
ああ、と私は合点がいったが、そんな上から目線に嫌々そうに訊かなくても。それでも尋ねられたのだから答えないわけにもいかない。
「ダイヤモンドリリーの花言葉は『また会う日を楽しみに』って意味なんです。他にも『幸せな思い出』とか。素敵じゃないです?」
笑顔で告げた私に対し、常務の表情は益々険しいものになった。自分で訊いておいてその表情はないだろう。そもそも、そんな不快になるようなことを私は言ったのだろうか。
さすがに疑問を口にしようとしたら、常務は何も言わずに背中を向けてさっさと給湯室を出て行ってしまった。私もその場を急いで片付けて、今日の報告に向かう。