常務の秘密が知りたくて…
「私を……どうして秘書にしたんですか?」
声を震わせながら以前かわされた質問をもう一度してみる。あのときと同じように返される気もしたが、それでも訊きたかった。常務の本当の気持ちが知りたかった。
「どうして、だろうな」
曖昧に呟かれた回答の真意は測りかねるが、やはり常務が私自身を秘書に選んだのだということはわかった。
それからお互い何も言わずにいると急に肩に重みを感じた。あまりにも突然のことに、私の身体は硬直する。体重を預けられ頭とはいえど、なかなか重い。密着した部分から体温が伝わってくる。
「本当、どうして」
常務は自問自答するかのように続ける。頬に髪が触れてくすぐったいが今はそれを気にしている余裕もない。私の心臓は色々な意味で爆発しそうだった。じっと息を潜めて常務の言葉に神経を集中させる。
それから常務は呂律が徐々に回らなくなりながらも、同じような言葉を繰り返していた。そして、はっきりと耳に届いた言葉は
「どうして、お前を秘書にしたんだろうな」
それからしばらくして聞こえてきたのは常務の寝息だった。やっぱり疲労がたまっているのだろうか、この体勢は辛いが、少しだけでも眠った方がいい。
そう思うと今はこの停電が有難い。零れそうになる私の涙に気付かれることもないから。常務の手は相変わらず私の手をつかんだままだった。
声を震わせながら以前かわされた質問をもう一度してみる。あのときと同じように返される気もしたが、それでも訊きたかった。常務の本当の気持ちが知りたかった。
「どうして、だろうな」
曖昧に呟かれた回答の真意は測りかねるが、やはり常務が私自身を秘書に選んだのだということはわかった。
それからお互い何も言わずにいると急に肩に重みを感じた。あまりにも突然のことに、私の身体は硬直する。体重を預けられ頭とはいえど、なかなか重い。密着した部分から体温が伝わってくる。
「本当、どうして」
常務は自問自答するかのように続ける。頬に髪が触れてくすぐったいが今はそれを気にしている余裕もない。私の心臓は色々な意味で爆発しそうだった。じっと息を潜めて常務の言葉に神経を集中させる。
それから常務は呂律が徐々に回らなくなりながらも、同じような言葉を繰り返していた。そして、はっきりと耳に届いた言葉は
「どうして、お前を秘書にしたんだろうな」
それからしばらくして聞こえてきたのは常務の寝息だった。やっぱり疲労がたまっているのだろうか、この体勢は辛いが、少しだけでも眠った方がいい。
そう思うと今はこの停電が有難い。零れそうになる私の涙に気付かれることもないから。常務の手は相変わらず私の手をつかんだままだった。