常務の秘密が知りたくて…
今年、二十歳になるサラ王女はシュテルン王家の一人娘で正当なる第一後継者だ。エリスは代々王家に仕えるヴァイス家の者で小さい頃からサラ王女に仕えてきたらしい。
あいつの方が王女より一つ年下なのに、話を聞けばどちらが年上なのかわからないくらい、いつも姉貴風を吹かせていてその想いは人一倍強かった。
「腕の力だけで受けようとするな。もっと腰を落とせ」
エリスに与えたのは護身用で使う短剣だった。戦に出るわけでもないし、何より使うことがないのが一番だ。それでも素人がそれなりに扱うのは簡単じゃない。エリスは真面目にも毎日、同じ時間に現れた。
「っ、痛」
短剣とはいってもそれなりに重さはあるし、それで相手の刃を受けようものならその腕にかかる負担は計り知れない。
手首の痛みに耐えきれずエリスの手から落ちた短剣をゆっくりと拾いあげ軽く宙に投げた。弧を描いて、柄の部分を手中に収める。
「やめるか?」
「いえ、大丈夫です」
膝を地につけ、腕で額に浮かぶ汗を拭うエリスに俺は尋ねた。稽古をつけるようになって一週間。もっと早くに音をあげるかと思ったが弱音一つ吐かない。
「ヒューゲル隊長も遠征が近いのにすみません」
「別に、たいした手間じゃない」
静かに立ち上がるエリスは多少は動きやすい格好はしているものの、それでも剣を握るには似つかわしくない。白いドレスの裾は汚れ、顔にも土がついている。仮にも王女の側近だというのに。
あいつの方が王女より一つ年下なのに、話を聞けばどちらが年上なのかわからないくらい、いつも姉貴風を吹かせていてその想いは人一倍強かった。
「腕の力だけで受けようとするな。もっと腰を落とせ」
エリスに与えたのは護身用で使う短剣だった。戦に出るわけでもないし、何より使うことがないのが一番だ。それでも素人がそれなりに扱うのは簡単じゃない。エリスは真面目にも毎日、同じ時間に現れた。
「っ、痛」
短剣とはいってもそれなりに重さはあるし、それで相手の刃を受けようものならその腕にかかる負担は計り知れない。
手首の痛みに耐えきれずエリスの手から落ちた短剣をゆっくりと拾いあげ軽く宙に投げた。弧を描いて、柄の部分を手中に収める。
「やめるか?」
「いえ、大丈夫です」
膝を地につけ、腕で額に浮かぶ汗を拭うエリスに俺は尋ねた。稽古をつけるようになって一週間。もっと早くに音をあげるかと思ったが弱音一つ吐かない。
「ヒューゲル隊長も遠征が近いのにすみません」
「別に、たいした手間じゃない」
静かに立ち上がるエリスは多少は動きやすい格好はしているものの、それでも剣を握るには似つかわしくない。白いドレスの裾は汚れ、顔にも土がついている。仮にも王女の側近だというのに。