常務の秘密が知りたくて…
「何か気に障りましたか?」
「敬語は必要ない」
予想外の言葉が飛び出し私は目を丸くした。
「必要ないって、どういう意味ですか?」
「まんまの意味だ。俺に対して敬語は必要ない」
「そういうわけにもいきませんよ! 私は秘書ですよ!?」
淡々と告げる常務に対して私の声は大きくなる。この人は自分が何を言っているのか分かっているのだろうか。
「本人がかまわないと言っているんだ、何を気にする?」
「気にします。ご自分の立場を弁えてください。他の人の目もありますし」
「この部屋で二人のときならかまわないだろ?」
何故、秘書とはいえほぼ初対面の私にそんなことを許すのか全く理解できない。でもそこである考えが頭を過った。常務と秘書の関係について噂レベルではあるが色々聞いてきた。
だから、もしかしたら常務にとっては秘書との距離の取り方なんてこんなものなのかもしれない。そう考えると今までの常務と秘書たちの関係の近さを表している気がしてなんだか複雑な気持ちになる。
「すみません、私はそこまで器用な人間ではないので。それに私は今までの秘書たちとは違いますから」
感情を押し殺すようにして答えると常務はあからさまに不機嫌そうな表情になった。どうして私が常務の秘書になったのか。少なくとも今までの秘書たちとは外見からして全くタイプも違う。
可愛さやエレガントさとは皆無な機能性重視のスーツだし、髪も邪魔にならないようにシンプルに纏め上げているだけで、自分で言うのもなんだが華というものが私にはない。
仕事がそんなにできるほうとも思えないし、もっと適任者はいただろう。この異動に対して常務はどう思っているのだろうか。直接、私に言わなくてももしかして常務も上の決めた人事を不満に思っているのかもしれない。
「敬語は必要ない」
予想外の言葉が飛び出し私は目を丸くした。
「必要ないって、どういう意味ですか?」
「まんまの意味だ。俺に対して敬語は必要ない」
「そういうわけにもいきませんよ! 私は秘書ですよ!?」
淡々と告げる常務に対して私の声は大きくなる。この人は自分が何を言っているのか分かっているのだろうか。
「本人がかまわないと言っているんだ、何を気にする?」
「気にします。ご自分の立場を弁えてください。他の人の目もありますし」
「この部屋で二人のときならかまわないだろ?」
何故、秘書とはいえほぼ初対面の私にそんなことを許すのか全く理解できない。でもそこである考えが頭を過った。常務と秘書の関係について噂レベルではあるが色々聞いてきた。
だから、もしかしたら常務にとっては秘書との距離の取り方なんてこんなものなのかもしれない。そう考えると今までの常務と秘書たちの関係の近さを表している気がしてなんだか複雑な気持ちになる。
「すみません、私はそこまで器用な人間ではないので。それに私は今までの秘書たちとは違いますから」
感情を押し殺すようにして答えると常務はあからさまに不機嫌そうな表情になった。どうして私が常務の秘書になったのか。少なくとも今までの秘書たちとは外見からして全くタイプも違う。
可愛さやエレガントさとは皆無な機能性重視のスーツだし、髪も邪魔にならないようにシンプルに纏め上げているだけで、自分で言うのもなんだが華というものが私にはない。
仕事がそんなにできるほうとも思えないし、もっと適任者はいただろう。この異動に対して常務はどう思っているのだろうか。直接、私に言わなくてももしかして常務も上の決めた人事を不満に思っているのかもしれない。