常務の秘密が知りたくて…
「仕事も終えましたし、今日はもうあがらせてもらいますね」
搾り出すような声で俯いたままの彼女に、これでいいのか? という問いかけが心の中で渦巻いていく。でもどうすればいいのか、どうしたいのかが分からない。
すると彼女は俺と視線を合わせないまま手に持っていた縦長の紙袋を机に置いた。
「あの常務、これ大家さんから頂いたんです。とってもいいお酒みたいですよ。常務、お酒好きでしたよね? 私一人では飲めませんし。よろしければ」
既見感を覚えるこのやりとりに背中に嫌な汗が伝う。
「あの、常務」
「いらない」
咄嗟に否定の言葉を口にすると彼女は困ったような表情を見せた。
「すみません、お嫌いでしたか」
「そういうわけじゃないが、いらない」
突っぱねるような言い方になってしまうのはしょうがない。彼女は何も悪くない。けれど鼓動も次第に速くなって口の中が乾いていく。
「すみません、一方的に。私、常務から色々と頂いてばかりですし、お礼がしたいのでまた何が好きなのか教えてください」
「そんな気を回す必要もない」
「でも」
「いらないって言ってるだろ!」
なかなか引き下がらない彼女に勢いに任せて怒鳴ってしまった。すぐに言いすぎたと思ったがもう遅い。
「すみません、余計なことを。お疲れ様です」
こちらを見ないまま彼女は踵を返した。声が震えていたのでもしかしたら泣かせてしまったかもしれない。動くことも、声をかけることも出来ない俺を尻目に彼女は部屋を後にした。
搾り出すような声で俯いたままの彼女に、これでいいのか? という問いかけが心の中で渦巻いていく。でもどうすればいいのか、どうしたいのかが分からない。
すると彼女は俺と視線を合わせないまま手に持っていた縦長の紙袋を机に置いた。
「あの常務、これ大家さんから頂いたんです。とってもいいお酒みたいですよ。常務、お酒好きでしたよね? 私一人では飲めませんし。よろしければ」
既見感を覚えるこのやりとりに背中に嫌な汗が伝う。
「あの、常務」
「いらない」
咄嗟に否定の言葉を口にすると彼女は困ったような表情を見せた。
「すみません、お嫌いでしたか」
「そういうわけじゃないが、いらない」
突っぱねるような言い方になってしまうのはしょうがない。彼女は何も悪くない。けれど鼓動も次第に速くなって口の中が乾いていく。
「すみません、一方的に。私、常務から色々と頂いてばかりですし、お礼がしたいのでまた何が好きなのか教えてください」
「そんな気を回す必要もない」
「でも」
「いらないって言ってるだろ!」
なかなか引き下がらない彼女に勢いに任せて怒鳴ってしまった。すぐに言いすぎたと思ったがもう遅い。
「すみません、余計なことを。お疲れ様です」
こちらを見ないまま彼女は踵を返した。声が震えていたのでもしかしたら泣かせてしまったかもしれない。動くことも、声をかけることも出来ない俺を尻目に彼女は部屋を後にした。