常務の秘密が知りたくて…
好きなものと好きではないもの
常務の秘書になって大体の仕事の流れは把握してきたが、それでも個人秘書の仕事はイレギュラーの事項が多い。たとえば……
「二十三点」
その中途半端な点数はなんなんだ、と突っ込みたくなるがそれを口に出すことはできない。何故なら私自身もそれを認めざるをえないからだ。
「お前にはセンスってものが備わってないのか?」
「すみません」
怒っているというより呆れているような常務の言葉におとなしく頭を下げた。我々の前には花瓶に生けられた花がどーんとテーブルの上に置かれている。
生けた、というのはおこがましい。届いた花をそのまま花瓶に突っ込んだだけの状態だからだ。定期的に社長室を始め重役の部屋には花が届けられ、それを生けるのは各々の秘書だったりするのだけれでも。
「まず花瓶選びから間違ってるだろ」
「そこからですか」
花瓶も無駄に色々あったけど決して無駄というわけではないらしい。常務は盛大なため息をついて自分の席に戻っていく。その後ろ姿を見ながら私は一人肩を縮めた。
「愛はあるんだけどな、愛は」
花は好きなんだけどそれと生けるというこては全く別のことらしい。
「一方的なのもいいところだな」
独り言に返事があるとは思っていなかったので心臓が大きく跳ねる。急いで後ろを振り返ると常務は先に渡した書類に目を通していた。
「二十三点」
その中途半端な点数はなんなんだ、と突っ込みたくなるがそれを口に出すことはできない。何故なら私自身もそれを認めざるをえないからだ。
「お前にはセンスってものが備わってないのか?」
「すみません」
怒っているというより呆れているような常務の言葉におとなしく頭を下げた。我々の前には花瓶に生けられた花がどーんとテーブルの上に置かれている。
生けた、というのはおこがましい。届いた花をそのまま花瓶に突っ込んだだけの状態だからだ。定期的に社長室を始め重役の部屋には花が届けられ、それを生けるのは各々の秘書だったりするのだけれでも。
「まず花瓶選びから間違ってるだろ」
「そこからですか」
花瓶も無駄に色々あったけど決して無駄というわけではないらしい。常務は盛大なため息をついて自分の席に戻っていく。その後ろ姿を見ながら私は一人肩を縮めた。
「愛はあるんだけどな、愛は」
花は好きなんだけどそれと生けるというこては全く別のことらしい。
「一方的なのもいいところだな」
独り言に返事があるとは思っていなかったので心臓が大きく跳ねる。急いで後ろを振り返ると常務は先に渡した書類に目を通していた。