リーダー・ウォーク
『誰?』
「家族」
『ふーん。家族』
「……」
『何で黙るんだよ』
「……別に」
なんとも話しづらいタイミングで電話かけてくる貴方が悪い。
『調子どうかと思って電話したんだけど。元気そうだな』
「筋肉痛だけど元気は元気」
『そうか。じゃあいいか』
「……あの。聞いてもいいですか」
『何だ』
「もし。ですけど。崇央さんを親に紹介するとか言ったらやっぱりウザいですよね」
『親来てんの?じゃあ俺も顔出したほうがいいよな。何か土産買ってくわ』
「いえいえいえいえ!来てないですよ!もしも!もしもの話!」
『来たら言えよ。こういうのは最初が肝心だからな』
「……まじか」
やばいこの人やる気満々だ。何をやるかは分からないけど。
親に紹介なんてウザがるかと思ったのに。
『下手に隠すのはやめておけ。娘のために見合い写真とか持ってくるぞ』
「えっ…」
タイミングといいこの人電話聞いてたのっ!?
『それに隠すような関係でもないしな。そうだろ?』
「私は出来れば穏便に…」
『それどういう意味だ』
「そ、そろそろ寝ますお休みなさいー」
これ以上電話したらボロが出そうなのでやや強引に電話を切る。
まだ何か言いたそうな不満ありありな声がしたけれど、無視して。
疲れはあるけれど何か食べようと台所へ。
まさか娘がこんないい部屋に住んで大財閥の三男と交際?中だとは思わないだろう。
もうトリマーとかどうでもいいんじゃないかとか思われそうで怖い。
夢も大事だけどそれより結婚して家庭を築くほうが幸せだと思っているだろうし。
「カップラーメン飽きてきたな…焼きそばにしたらよかった」
家庭に憧れはあるけれど、何が一番かは人それぞれだと思います。