リーダー・ウォーク

「おかえりチワ丸。うん。いい艶だ。今月も頑張ったな。
ご褒美のジャーキーは帰ってからだ」

1時間ほどでシャンプーは終了。

シャンプー、といっても内容は店で一番豪華なコース。
ハーブパックにマイクロバブルにマッサージにアロマシャンプー
爪も綺麗に磨いて歯磨きも忘れずに。

チワ丸は元気にジタバタするが噛んだりはしないし基本はイイコ。

最初はもっと定期的にやると言っていたが稟が説得し月一にしてもらった。

「ご飯、いいモノ見つかりましたか?」
「いや。高価なものにしたら良いという訳でもないからな」
「そうですね。食べてくれないと意味が無いですし」

ペットショップ内で売っている餌の種類は豊富。
稟はトリミングスタッフなので毎月入れ替わる用品には四苦八苦。
聞かれても大丈夫なように勉強中だけど、それでもわからない時は
他のスタッフに確認する。

「かといって安物は避けたい。国産で安全で美味しいものがいい」
「松宮様、食べてましたもんね。1粒」
「……あれは、マジで不味かった」
「ふふ。良かったらお試しで試食できる小さいパックが幾つかあります。
それで試してみてはどうでしょうか?」
「なるほど。そうするか」

バックからお試しパックの入った箱を持って戻る。
その中から子犬でもいけるものを厳選し幾つか渡した。

「…なあ、あんたに頼みがあるんだ」
「はい。なんでしょう?」
「実はさ。…知り合いに会員制のドッグランの話を聞いた」
「まだ5ヶ月では」
「走らせたいんじゃない。将来的に走らせられるか、見学に行きたい」
「ああ。なるほど」
「つきあって欲しい」
「私がですか?」
「あんたしか頼れない。あんたの言葉しか信じられない」
「……わかりました。何時?」
「シフト教えて」

< 3 / 164 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop