リーダー・ウォーク
初ラン


そして今も変わらず何かあれば稟を頼って連絡があったり来店する。
シフトを教えたら何やらスマホで調べだして、すぐ日にちと時間を指定された。
どうやらその日に見学に行くらしい。稟の予定は確認しないで。あっさりと。
松宮はご機嫌でチワ丸を連れて帰っていった。

どうせ私は孤独なひとり暮らしで友達はちょっと遠くて、彼氏居ませんよ。



「ごはんを食べさせるには興味を持たせる必要がある、か。
でもチワちゃんが普段どんな感じなのかもみてないしなぁ」

ふてくされながらも結局その日に指定された場所へ行く稟。
カバンには犬の飼い方が特集してあるペット雑誌数冊。
彼に紹介してあげたらきっと購読することだろう。

「ごめん。まった?」
「いえ。大丈夫です」
「乗って」
「はい」
「ああ。後ろはチワ丸の席だから、悪いけど助手席ね」
「は、はい」

ペーパードライバーで車に興味のない稟でも
彼が乗ってきたのが高級車だというのはわかる。
エンジン音からして違うし見た目もスピードが凄く出そう。

その後部座席は広々として大きめのキャリーがしっかり固定されていた。

中にはチワ丸。

稟の匂いを感じ取ったのか嬉しそうにキャンキャン吠えている。

「ちょっと遠いんだけどさ。すげえ敷地が広くて綺麗に整備されてるんだって」
「でも将来遊ばせるにしても他のワンちゃん大丈夫ですか?大きいことか」
「ンなもん。時間限定して貸しきるに決まってるだろ」
「そ、それだと交流の楽しみが」
「別に交流させる気はない」
「じゃあ」
「家で走らせてもいいけど、フローリングは滑って転びやすいって本で読んだ。
だから芝生の上でおもっきり走らせてやりたい。そう思っただけ」
「な、なるほど」

想像だけど、松宮家の豪邸ならドッグランなみに広くて楽しそうだ。

だけど家の中は障害物も多いだろうからドッグランの方が安全、か。

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