俺様社長の恋の罠
「失礼致します。コーヒーをお持ちしました」
そう言って社長室に入った私を、崇人さんはなぜかすごく驚いた顔で見てから、険しい顔をした。
どうしたんだろうと思いつつ、私は崇人さんと大高社長の前にコーヒーの入ったカップを置く。
そんな私の手を、大高社長がなぜか握った。
驚いて大高社長を見ると、なぜかすごくキラキラした目で私を見てる。
恋人の欲目で崇人さんには敵わないけど、大高社長もモテるだろうな、という風貌だった。
茶色の髪を無造作に流している。整った顔立ちにいたずらっ子のような瞳が印象的で崇人さんと同級生と言っていたから三十歳のはずだけど、もっと若く見える。
「え。何、君、崇人の秘書さん?名前はなんていうの?」
「あ、はい。九条社長の秘書を四月からさせていただいています。羽山と申します」
手を握ったままキラキラした瞳でそう聞かれそう答えると大高社長はますますぎゅっと手を握ってくる。