俺様社長の恋の罠

それに会釈を返すけど、崇人さんは眉間にシワを寄せて大高社長を睨んでいる。


「馴れ馴れしく名前で呼ぶな」


そう言う崇人さんに大高社長はおお、こわっ、と楽しそうに呟く。


「はいはい。じゃ、またね羽山ちゃん。崇人も」


大高社長にそう言われても崇人さんはうっとうしそうな顔で追い払うように手を払う。


「早く帰れ」


「客にそれって超失礼だわ。ま、別にいいけど。今日は仕事じゃなくて親友の顔を見に寄っただけだし。じゃ、お邪魔虫は退散しますよ」


そう言って大高社長は社長室から出ていった。


お見送りも出来なかったけど、よかったのだろうかと考える私に崇人さんが向き直って抱きしめてくる。


「た、崇人さん」


抱きしめられて仕事中なのにも関わらず、名前で呼んでしまってハッとするけど崇人さんは気にする様子もなく私をさらに抱きしめて……。


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