俺様社長の恋の罠

それを見た崇人さんが一歩踏み出したのを見て清水さんはパッと私から離れる。


うーん、なんか崇人さんのことよく分かってる感じ。


あの崇人さんをここまでやりこめられるなんてきっと清水さんくらいだ。


「清水、お前……、華子に言いつけるぞ」


崇人さんの苛立った声を気にする様子もなく清水さんはなぜか鞄を持つ。


「どうぞどうぞ。何を小さなことを言っているんだと怒られるのは崇人様ですから」


そう言って清水さんは素敵な帽子をかぶって私達に一礼した。


「夕方、少し早く帰らせていただくつもりでしたが。午後、有給をとらせていただきます。午後から行く予定でした青木商事には羽山さんと行ってください。近々、発表しますと言って婚約者だと紹介してもいいのでは?ご両親に了解もとってあるのですし」


清水さんのその言葉に私は目を丸くする。


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