俺様社長の恋の罠
九条崇人は弱冠二十八歳にしてこの九条商事の社長に就任した非常に優秀な男だ。
優秀すぎる息子に感服した九条グループのトップである彼の父親はグループの核であるこの会社を息子に任せて自分はグループの統括を行っている。
就任から二年が経ったけど、社長の素晴らしい手腕で九条商事は以前よりさらに業績を延ばしている。
眉目秀麗、高学歴、高収入、家柄ももちろん文句なし。非の打ちどころのない完璧な男だけど、私はこの人が嫌いだ。
秘書課配属になってから何億回ついたか分からないため息をついて、私は秘書課の扉を開ける。
「おはようございます」
そう言って中に入るとすでにディスクに座りパソコンを開いていた清水さんが穏やかな笑みを私に向けてくれる。