俺様社長の恋の罠
「おはよう、羽山さん。早速で申し訳ないんだけど、崇人様がお待ちだから」
笑みを絶やさないまま、清水さんは秘書課から繋がっている社長室を指差す。
その扉を見て、私はまたため息をついた。
「やっぱりスケジュール確認、清水さんじゃダメなんですか?」
私が心の底から嫌だと思っているのを隠そうともせずにそう言うと清水さんは困ったように眉毛を下げる。
以前は清水さんがしてしたそれを、ここ半月は社長命令で私がしている。
「最近、朝からおっさんの顔は見たくないって駄々こねるようになっちゃってね。言うこと聞かないと会議で荒れまくっちゃうから。みんなの平和のために。ね、お願い羽山さん」
ああ、ダメだ。またため息が出る。