俺様社長の恋の罠
「美月、好き、好きだ。」
それは、身体が、でしょ。それなのに、どうしてそんな瞳で私を見るの?
「美月、美月」
そんな声で、私の名前を呼ぶの?
どうして、そんな風に、大切なものを扱うように優しく私に触れるの?
その答えなんて知りたくないくせに。
ただそんな風に触れられると勘違いしてしまうから、この人に愛されていると錯覚してしまうから。
九条社長にすがりつきたくなって、甘えたくなってしまう。
この人の腕の中を、心地良いと思ってしまう。
九条社長にそんな気持ちを抱いてはいけないと思うのに。
もう考えるのをやめたくて、ずるい私は九条社長の逞しい身体に抱きついてその頬に口付けた。