俺様社長の恋の罠
「羽山、もう帰り?じゃ、飯でも行かない?俺、羽山に報告があんだよね」
そう言う眞木に私は首を捻った。改まってどうしたんだろう。
「何、昇進でもするの?」
私がそう言うと眞木は照れたように笑った。そして衝撃的な言葉を私に放つ。
「いや、実は俺結婚することになった」
それを聞いて、驚いて眞木を見ると、眞木は恥ずかしそうに私から視線をずらす。
胸が、ズキリと痛んだ。
「恥ずかしながら、でき婚なんだけどさ」
ズキズキと容赦なく襲ってくる胸の痛みを必死に隠して私は眞木に笑顔を向ける。
「彼女、いたんだね」
そう言うと真顔になって私を見た眞木が、苦笑いする。
「……お前が秘書課に移動になってからな。だから報告できてなかった。今日、予定ないなら付き合ってよ。俺、お前に言っときたいことがあんだ」
そんなの、無理だ。心がついていかない。