俺様社長の恋の罠
だってこんなに胸が痛い。少しでも気を緩めたら泣いてしまいそうだ。
彼女ができたことも知らなかったのに、いきなり結婚だなんて。
「ごめん、眞木。今日はちょっと無理だから、今度ね。ちゃんとお祝いするから」
今、ちゃんと笑えているだろうか。眞木に、変に思われてないだろうか。
ズキズキする胸の痛みに耐えながら、私は必死に笑顔を作る。
早く、眞木から離れたい。
「なんだ、そうなんだ。じゃあしょうがねえな」
そんな私に、眞木は気付いた様子もなく笑ってくれる。
私が好きだったその笑顔を見ても、今は痛くて辛いだけだ。
「都合のいい時、連絡するから」
大丈夫。感情を隠すことはすごく得意だ。だから大丈夫、私は笑える。