俺様社長の恋の罠
扉が閉まって、再び上昇するエレベーターの中で私は胸を押さえて、壁に手をついた。
眞木が、もてることは知っていた。
顔も整っているし、優しいし、仕事もできるし、もてないわけがない。
今までだって、何回も彼女のいる話は聞いてきた。
なかなか長続きしなくて、すぐに別れては私のところに来て愚痴ってた。
私はそれが嬉しくて、何となく眞木の特別な存在になった気がしていた。
『なあ、俺どっかおかしいのかな。あ、そうだ!羽山、俺と付き合ってよ。俺、羽山となら長続きしそうな気がする』
振られるたびにそんな冗談を言ってくる眞木のことをいつも突っぱねていたけど。
こんなことなら頷いておけばよかった。そしたら、何か変わっていたのかな。