俺様社長の恋の罠
もっともそんなこと、意地っ張りで臆病な私にできっこないけど。
今さらそんなこと考えたって仕方がないのに、だって眞木はもう他の人のものだ。
五年も近くにいたのに、何もしなかった私にそんな事思う資格ない。
分かってる。時間は戻らないし、どうにもできないってちゃんと分かってる。
でも、今は、今だけは……。
秘書課に入って一人になると、ポロポロと涙があふれる。
情けなくなって涙を拭くけど、次から次へと涙がこぼれて止まらない。
同期で営業部の営業一課に配属されて、嬉しいことがあれば一緒に喜んで、落ち込んだことがあれば励ましあって。
私の名前を呼んで、笑う眞木のことが好きだった。
女の子に振られるたびに、私のところに来てくれて嬉しかった。