俺様社長の恋の罠
「羽山……」
何が起こったのか一瞬、分からなかった。
唇に、暖かい濡れた感触。目の前には、綺麗な九条社長の顔。
キスされていると自覚して、顔を離そうとする私の頭を社長の腕が押さえる。
そのままぎゅうっと抱きしめられて、私はパニックになった。
私、今、キスしてる。九条社長と。
パニックになってる私の舌に、ぬるりと九条社長の舌が絡む。
「んっ!」
驚いて目を見開く私の顔を、社長もじっと見ていてその強い眼差しに身動きがとれなくなる。
舌を甘噛みされて、吸われて、絡めとられて、社長の舌が気持ち良くて、頭が真っ白になっていく。
その時の私の頭の中には、眞木のことなんて全然なくて。
身体に力が入らなくて、必死に社長の身体にしがみついていた。
どのくらいそうしていたのか、やっと唇を離した社長が私の顔を見て笑った。