俺様社長の恋の罠
どうしたのかと首を傾げていると、社長はじっと私の顔を覗きこんでくる。
それからため息をついて、私の手を掴んだ。
「あの、九条社長?」
戸惑った声をあげる私を無理矢理立たせ、社長は私を社長室の応接セットに連れていく。
初めて抱かれた時の記憶が甦り、焦る私を社長はソファーに寝かせて、着ていた高級そうなスーツを脱いだ。
何事かと思う私の身体に脱いだスーツをかけて、社長は私のおでこに触れた。
「やっぱり。お前、熱があるぞ。朝のスケジュール確認のときも顔色が悪いとは思っていたが」
え? 熱?
自分でもおでこに触れてみると、確かにいつもより熱い気がする。
「だ、大丈夫です。たいした熱ではないので」
頭も痛いけど、仕事ができないほどじゃない。そう思って起き上がろうとする私を社長が押し留める。