俺様社長の恋の罠

っていうか、こんなの逆に落ち着かな……落ち着かない?お、落ち着く。


なんか分かんないけど、すごく落ち着く。


思わず目を閉じてしまった私の額に社長の手が触れる。


その手がすごく優しくて、なぜかちょっとだけ泣きそうになった。


弱ってる時って、優しくされるとダメかもしれない。


それを我慢して鼻の奥がツンと痛くなった。


「熱はないみたいだな」


その額に触れている手が気持ちがよくて、私はじっと九条社長を見上げた。


私の視線に気付いた社長が、なぜか少し赤くなって顔をそらす。


それをごまかすみたいに腕時計に目をやった社長を見て私はハッとした。


誰よりも忙しい人なのに。私すごい、迷惑かけてる。


そう思った私は慌てて起き上がる。


「おい、そんなに急に起き上がるな」


そうは言われても忙しいのにこれ以上迷惑をかけるわけにはいかない。


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