俺様社長の恋の罠
『あいつに好きだったって言われたら、美月はどうするの?』
そんなことは絶対にないと思うけど、もし、もしそんなことを言われても私の心はもうあなたのものです。
そう心の中で呟くけど、それを口にはしない。
「切ります。……では、また月曜日に」
社長の問いかけには答えず、私は電話を切った。
空を見上げれば、いつか見た夜空と同じ綺麗な月と星。
社長の話してくれた、銀河鉄道の夜の話を思い出した。
本当の幸いって、何だと思うと聞かれて……私はそれに答えなかった。
社長はそれを見つけたと言っていたけど、あの人にとっての幸いって一体何なんだろう。
幼い頃、星空を見て銀河鉄道を探したとあの人は言っていたけど、この夜空のどこかを、銀河鉄道は走ってるのだろう。
私にとっての幸いは……。
そんなことを考えて、深く息を吐いてから私は眞木の元に戻った。