俺様社長の恋の罠

『あいつに好きだったって言われたら、美月はどうするの?』


そんなことは絶対にないと思うけど、もし、もしそんなことを言われても私の心はもうあなたのものです。


そう心の中で呟くけど、それを口にはしない。


「切ります。……では、また月曜日に」


社長の問いかけには答えず、私は電話を切った。


空を見上げれば、いつか見た夜空と同じ綺麗な月と星。


社長の話してくれた、銀河鉄道の夜の話を思い出した。


本当の幸いって、何だと思うと聞かれて……私はそれに答えなかった。


社長はそれを見つけたと言っていたけど、あの人にとっての幸いって一体何なんだろう。


幼い頃、星空を見て銀河鉄道を探したとあの人は言っていたけど、この夜空のどこかを、銀河鉄道は走ってるのだろう。


私にとっての幸いは……。


そんなことを考えて、深く息を吐いてから私は眞木の元に戻った。


< 78 / 136 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop