俺様社長の恋の罠
「ごめん、眞木」
お店に戻ってそう言った私の顔を不機嫌そうな顔で眞木が見ている。
私はそれを見て苦笑いしながら椅子に座った。
そのままグラスを持ってお酒を一口飲む私を見て、眞木が驚いた顔をしてる。
「電話、九条社長じゃないの?」
確かに電話は九条社長だったから、私は眞木の言葉に素直に頷く。
「そうだけど」
頷いた私を見て、訝しげな目で眞木は私を見る。
それもそうだよね。今まで私、眞木から逃げて九条社長の所に行ってたし。
「……行かないの?」
疑うようにそう言われて、私は笑いながら頷く。
「行かないよ。電話で事足りることだったから。今日こそ眞木に付き合うよ」
「そ、そうなんだ」
そう言って眞木は、何かを考えるようにビールの入ったグラスを見てる。
しばらくそうしていた眞木は、残りのビールを一気に飲んでから私を見た。