俺様社長の恋の罠
「そこの公園行っていい?」
「うん」
ちょっと前なら、こうして並んで歩いてたらドキドキして仕方なかったのにな。
もう本当に吹っ切れたんだと思うと、やっぱり浮かんでくるのは九条社長のことだ。
ああ言った私を、あの人はどう思ったのだろう。
もしかして社長室で、私のことを待っているのだろうか。
そんなことを考えている私を眞木が振り返った。
「あの、さ。羽山」
「うん?」
人気のない静まり返った公園だからか、眞木の声がやけに響く。
「俺、ずっと……」
ふいに、眞木のつけている香水の香りが私を包みこんだ。
「え?眞木?」
眞木に抱きしめられていると気付いた私は驚いて離れようとするけど、逆に腕の力は強まって離れることはできなかった。