俺様社長の恋の罠

「そんぐらいじゃないと言えなかったんだよ。だから、悔しかったんだ。あの人が、ずっと傍にいた俺が気付かなかったことに気付いたことが」


眞木の言う、あの人というのが九条社長のことだと気付いて、胸がドキドキと高鳴る。


好きで好きで仕方なかった人の腕の中で、そんな風に違う男のことを考えてドキドキしてる自分に苦笑いする。


「その後、羽山、秘書課にいっちゃって。もうそういうことなんだと思って、あきらめて荒んでる時に出会ったのが今の彼女」


そう言って眞木は私から身体を離した。


「今は私のこと好きじゃなくてもいいなんて言われて、付き合って。妊娠させちゃったけど。その子に言われたんだよね。ちゃんと想い伝えてこいって。それで上手くいっても構わないからって。振られたら目一杯慰めてあげるからって。すげぇ、かっこいいでしょ?」


そう言う眞木を見て、私は笑った。眞木の顔を見れば分かる。きっともう眞木は……。


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