俺様社長の恋の罠
「その子のこと、大好きなんでしょ?」
私の言葉に、眞木は照れたような、嬉しそうな笑顔で頷く。
その顔を見ても前みたいに胸が痛むことはなくて、私は心からの笑顔を眞木に向けられる。
「素敵な彼女だね」
本当に眞木のことが好きで、眞木のことを想ってる子なんだろうな。
妊娠してるのに、他の女と幸せになっててもいいなんてなかなか言えることじゃない。
まあ、眞木がそんな無責任な奴じゃないって分かってるからかもしれないけど。
「眞木、ありがとう。そうだね、私……九条社長のこと好きだわ」
あなたのことが、好きだったよ。あれは確かに恋だった。
私はそのことを眞木には言わないけど、そんなことを言っても……もうどうにもならないから。
私と眞木は、よく似てたね。二人とも臆病で、一歩踏み出せなくて。