初恋ブレッド
ときめきパン
宮内部長の車で送ってもらった翌朝。
いつもより丁寧に成形しておいたパンを冷蔵庫から出しオーブンへ入れる。
今日も二種類だけれど、少しだけ手が込んでいる。
プレーンのパンにレタスとウインナーとゆで卵を挟んだホットドッグと、くるみとチョコチップを入れたココアパンを作った。
「宮内部長、喜んでくれるといいなぁ」
丁寧にラッピングをして紙袋にそっと詰める。
出勤するのが楽しみでウキウキする朝は初めてだ。
苦手な満員電車で必死にパンを守り、解放されると会社へ小走り。
そしていつものようにオフィスの掃除。
「ふぁ~」
度々出るあくびが目尻に涙を溜めた。
実はちょっと寝不足。
「田代おはよー」
「ふぁ……あっ、おはようございます!」
「ごめんな。昨日遅かったのに俺がパン食べたいとか言うから大変だったろ?」
「ち、違うんです!昨日はちょっと考えごとしてて」
恥ずかしいっ、あくび見られたよね。
昨日は残業よりも、宮内部長にパンを食べてもらったり、話をしたり送ってもらったり……。
思い返してみると私にとってミラクルな出来事で、考え出したらドキドキして眠れなくなっちゃった。
「パンとなるとどうも自分を見失う」
「あはは。私は食べてくれる人がいると嬉しいし、作り甲斐があります」
「そっか?ムリはするなよ」
「はい。……あの、部長こそ好みじゃなかったらちゃんと言ってくださいね?」
「本当に美味しいけどなぁ。自称パン評論家の俺が言うんだから、自信もてよ」
「うーん、もっと上手になりたいので。ぜひ評論家の意見を聞きたいです」
「ん。そういうことなら、パンを食べ続けている俺がアドバイスしよう」
「ふふっ、よろしくお願いします」
クスリと笑って、紙袋を渡した。
どさくさに紛れて初めてしっかりと見た部長は、優しい目元に羨ましいほど綺麗な肌が魅力的だった。
少し長めの前髪だけど襟足は短めとか。
黒だと思っていた髪色が、実はダークブラウンだったとか。
いつも俯いて目を逸らしていたから、気づかなかった。
嬉しそうな顔が、頭から離れない。
もっともっと、喜んでもらいたい。
そんなことを考えちゃう、なんだか今日は変な私。
いつもより丁寧に成形しておいたパンを冷蔵庫から出しオーブンへ入れる。
今日も二種類だけれど、少しだけ手が込んでいる。
プレーンのパンにレタスとウインナーとゆで卵を挟んだホットドッグと、くるみとチョコチップを入れたココアパンを作った。
「宮内部長、喜んでくれるといいなぁ」
丁寧にラッピングをして紙袋にそっと詰める。
出勤するのが楽しみでウキウキする朝は初めてだ。
苦手な満員電車で必死にパンを守り、解放されると会社へ小走り。
そしていつものようにオフィスの掃除。
「ふぁ~」
度々出るあくびが目尻に涙を溜めた。
実はちょっと寝不足。
「田代おはよー」
「ふぁ……あっ、おはようございます!」
「ごめんな。昨日遅かったのに俺がパン食べたいとか言うから大変だったろ?」
「ち、違うんです!昨日はちょっと考えごとしてて」
恥ずかしいっ、あくび見られたよね。
昨日は残業よりも、宮内部長にパンを食べてもらったり、話をしたり送ってもらったり……。
思い返してみると私にとってミラクルな出来事で、考え出したらドキドキして眠れなくなっちゃった。
「パンとなるとどうも自分を見失う」
「あはは。私は食べてくれる人がいると嬉しいし、作り甲斐があります」
「そっか?ムリはするなよ」
「はい。……あの、部長こそ好みじゃなかったらちゃんと言ってくださいね?」
「本当に美味しいけどなぁ。自称パン評論家の俺が言うんだから、自信もてよ」
「うーん、もっと上手になりたいので。ぜひ評論家の意見を聞きたいです」
「ん。そういうことなら、パンを食べ続けている俺がアドバイスしよう」
「ふふっ、よろしくお願いします」
クスリと笑って、紙袋を渡した。
どさくさに紛れて初めてしっかりと見た部長は、優しい目元に羨ましいほど綺麗な肌が魅力的だった。
少し長めの前髪だけど襟足は短めとか。
黒だと思っていた髪色が、実はダークブラウンだったとか。
いつも俯いて目を逸らしていたから、気づかなかった。
嬉しそうな顔が、頭から離れない。
もっともっと、喜んでもらいたい。
そんなことを考えちゃう、なんだか今日は変な私。