女神は片目を瞑る~小川まり奮闘記②~


「君の事を知るのは嬉しい」

 ゴロンと仰向けになった。

「いくらか謎が解けたしな。やたら強いのとか、その独立心のわけやイントネーションになまりがないのも」

「なまり、ない?」

「ねえな。どこ出身か判らなくて、実家が沖縄って聞いた時は本気で驚いた。沖縄の人特有の顔もしてないし」

 ・・・ふーん。そんなこと思ってたのか。

 しばらく二人で時計の秒針の立てる音を聞いていた。

「―――――俺も、兄弟はいない」

「え?」

 私は隣の彼を見る。桑谷さんは天井を見詰めたままで、呟くように話し出した。

「両親は結婚が遅かった。兄弟を作る前に親父は死んだ。俺が男の子で、母は怯えていたと思う」

 まだ見ない彼のお母さんに深く同情した。何て寂しさだろうか。

「・・・4日、ちゃんと会いに行ってきたよ。6年ぶりだったけど、元気にしてた」

 私はにっこりした。ちゃんと、行ってくれたんだ。

「どこにいらっしゃるの?私、挨拶しに行きたいわ」

「近いぞ」

 彼が告げたのは何と隣町。ビックリした。電車で1時間もかからない。

「え!?その距離で、6年ぶり!?」

「そう」

 ・・・・男って、そんなものなのかしら。そして突然、私は決心した。

「今日、連れてって」


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