女神は片目を瞑る~小川まり奮闘記②~


 彼が苦笑した。

「何で君が謝るんだ。元々は、俺の過去に巻き込まれた被害者だろう」

 そして私の手を握った。

「いいんだ。それだけの価値はあった。細川は檻の中で、君は無事で俺の妻になってくれる」

 私はにっこりと大きな笑顔を見せた。

「お金はこれから、一緒に稼ぎましょう。楽勝よー、二人で働けば」

 風は冷たかったけど、光が舞う中で手を繋いでいた。

 もうすぐくる私の誕生日には、彼の妻になる。そしてアクセサリーが嫌いな私がただ一つだけ身につける、結婚指輪を買いに行くのだ。

 式なんか挙げないけど、聖書も祭壇もないし証人も居ないけど、今ここで誓いましょう。

 死が二人を分かつまで、ずっとあなたの隣で笑うわって。


 今、ここで――――――――



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