女神は片目を瞑る~小川まり奮闘記②~
細川の写真がついた記録紙を滝本の机の上に放り投げる。
「ある女性に惚れてる」
「惚れてる、だけ?もう恋人なのか?それに寄って――――――」
「恋人だ。実は、プロポーズもした」
ひゅっと眉を上げて、滝本は更に面白そうな顔をした。
「・・・どうしたんだ、独身貴族の彰人が。大体お前と一緒に居られる女性が、本当にこの世にいるのか?」
・・・・俺はどんな怪物なんだよ。チッと舌打ちをして不快感を表す。
「女とは浅い付き合いもしくは腕枕だけ、しかしないのがポリシーじゃなかったのか?」
そんな宣言はした覚えがない。俺はむすっとしたままでぶっきらぼうに返答する。
「俺は大人になったんだよ」
「・・・ほお~。よほどいい女なんだな」
―――――――ああ、最高だよ、色んな意味で、彼女は特別だ。だけどそれは口には出さなかった。
くっくっく・・・と口の中で笑いながら、滝本が促した。
こいつには話したくないが、こればかりは仕方ない。
俺は彼女のことを話す。
俺がここで調査員として働いていた頃に警察に突っ込んだ元犯罪者が俺に仕返しを企んでいるなら、彼女にも火の粉が降りかかるだろうことは一目瞭然だ。
それは何としても防がねば。
出所したばかりの元犯罪者のせいで、俺の生活は乱れまくりだ。
楽しそうな滝本を脅して真面目にさせ、二人で対策を練ったり色々仕掛けたりして、帰ってきたらまたまた深夜0時。