女神は片目を瞑る~小川まり奮闘記②~
第2章 疑惑
1、女友達と男友達
結構な寝不足で出勤した。
あまりにも腹が立ったので、今日はこちらからはコンタクトを取る努力はしないことに決定した。つまり、平たく言うと、無視することにした。
仕事は行くけど時間は取れないってことは、あっちもそのつもりなんだろう。・・・なぜだかは判らないが。
売り場から斜め真っ直ぐこっちもあっちも見えるけど、鋼の意思で一度も目をやらなかった。
休憩も、色んな人の目を気にしてわざわざ外で食べた。
でも、全く影響はなかったかもしれない。私の携帯が着信の知らせで鳴ることは一度もなく、バックヤードで彼とすれ違うこともなかったので、実は、本当に彼が出勤したかどうかも知らない。
イライラしたまま更に一日を終える。
昼間、敏感な同僚の竹中さんがにやりと笑って、言った。
「彼氏と喧嘩ですか~?」
私はむっつりと応えた。
「婚約破談の勢いよ」
ひょええ~っと派手に驚いて、暇な竹中さんは根掘り葉掘り情報を得ようとしたけど、私はさらさらとかわした。
そしてため息が増える。
あーあ、あの甘い日々よ・・・一体いずこへ?ってか、まだちゃんと付き合いだして2ヶ月なのに、早くない?彼氏に放っとかれるの。
そして、連絡のないまま夜が明け、本日は私は休日。彼との約束は勿論ないし、別に友達とも約束してない。
だけど家にいてもイライラするだけだしと久しぶりに女友達に電話した。家で仕事をしている彼女なら、相手してくれるかもって思って。