女神は片目を瞑る~小川まり奮闘記②~


 弘美はまた新しいタバコをくわえた。

「・・・・まあ、一応」

 あん?と彼女は眉をしかめる。

「一応って何よ?気に入らないことなら自分で解消したらいいでしょうが」

 私は黙る。・・・・だってプライドの問題だもん、と心の中で呟いた。

 弘美は嫌そうに手を振って、ばっさりと切った。

「ばっかばかしい、さっさと問い詰めなさいよ。妻になる予定の人に言えないような事をしている男だったら、結婚も何もないじゃないのよ」

 ・・・確かに。思わず、頷いた。

「たしかあーに。うまい事言うね、さすが弘美」

「じゃあ、その話題はそれで終わりね。事の次第がどうなったかは、またメールで教えて頂戴。それよりさ―――――」

 強制的に終了となった。

 若干唖然としたけれど、それから弘美が目を輝かせて話したのは大学時代の皆の話題で面白かった。

 男共も身を固め始めたらしく、何人かは結婚しているらしい。

「あ~、やっぱり30歳よね。急にバタバタと招待状が舞い込んできたもの」

 私はそういうと、弘美が前でパンと手を打つ。

「そうだ、楠本、覚えてるでしょ?まりっぺはかーなり仲良かったよね」

 大学時代、一番仲のよかった男友達の名前が出てビックリした。

「おおー!楠本が、何何!?アイツもついに結婚とか!?」


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