女神は片目を瞑る~小川まり奮闘記②~
「・・・接触?ストーカーと?」
「手紙と電話って何だ?知らねえぞ」
二人の声を聞いて、私はぐるんと目を回した。
・・・・ああ、しまった。大量のビールで今思考回路がめちゃくちゃなんだった・・。
最悪のパターンでばれてしまったらしい。
綺麗な顔ゆえ機嫌が悪くなると凄みが増す楠本と、獰猛な瞳で威圧感を出して見詰める桑谷さんを目の前に、私はため息をついた。
・・・・やば。どっちも、怖い顔してるわ・・。
「あ―――――・・・」
手をヒラヒラと振って、出てこない言葉の間埋めをした。今や真剣な顔をして、男二人が私を見ている。
「そう。だから、手紙が入ってたのよ」
私は立ち上がり、少しふらつきながら台所と居間のしきりに使っているチェストの引き出しを開け、白い封筒を二通とも取り出した。
それを受け取って開きながら、桑谷さんが聞く。
「いつ、どこに」
「・・・・えーっと。たーしか、約1週間前と、一昨日。封筒に日付書いたから見て。うちの郵便受けに入ってた」
眉をしかめて手紙を読む桑谷さんの様子を見ながら、今度は楠本が口を出す。
「電話は?」
「・・・一昨日。デパ地下のうちの店の電話に。小川さんいますかって」
「――――――聞いてねえな」
ぞくりとするような桑谷さんの低い声が聞こえた。