女神は片目を瞑る~小川まり奮闘記②~

 キスが落ちてきた。

 温かくて柔らかいそれを、私も久しぶりにしっかりと味わう。桑谷さんの香りと、その温度。

「・・・・」

「・・・・」

 無言で、体を探り合った。

 彼は大きな手で愛おしむようにあちこちを撫でる。

「・・・朝飯前、だな」

 低い声で笑って、桑谷さんが私を見詰めた。

 既に息が上がり始めていた私は、彼の口にそっと手の平を当てる。

「・・・黙って。お喋りは、後で」

 了解、と小さく呟くのが聞こえた。



 そして私は彼が見せる夢の中に落ちて行った―――――




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