女神は片目を瞑る~小川まり奮闘記②~
唖然とした顔で今度は固まった彼を眺めた。
「・・・・・・な・・・」
「な?」
「何してんだー!!」
怒鳴りながらがばっと身を起こした桑谷さんに揺さぶられる。
「・・・・ええーっと・・・はい、すみません・・・」
がくがく視界が揺れてたけど、私は我慢して一応謝った。一応ね、一応。
「いつ」
「・・・昨日」
「電話があった?」
「はい」
「細川から?」
「そう」
「・・・・・何で言わねーんだ」
あ、怒っちゃった・・・・。私はため息をつきながら肩をすくめる。あーあ、やっぱり怒ったか・・・。
ま、予想通りと言えばそうなんだけど。
今や不機嫌極まりない顔をして私を見下ろす桑谷さんを見て、もう一度ため息をついた。
そして、仕方ないから説明することにする。
「もううんざりだったから、自分で突破口を開こうと思って」
「あん?」
「・・・・挑発にのってくれたら、一気にかたがつくかなって」
瞳を細めて、怒気を発していた。その彼が低い声で言った。