忘れられた塔
蒼白い月が暗く寂しい部屋を照らします。


窓辺に佇むーー白い少女。少女の瞳から一筋の涙が流れ。


「“シオン”は?」

「“花束はないけど。君が望む場所へ、還ろう”」


一輪の花を旅人が差し出します。シオンの花を。


「“ああ……約束の花。これでやっと、貴方の元に還れるのね……”」

「……ああ」


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