カタブツ上司に愛された結果報告書
私を見る目は鋭く確信を得ている。
これでは笑って「なにもありませんよ」なんて言葉は通じないようだ。


かと言っていくら真由子さんが相手と言えど、包み隠さず全てをさらけ出すわけにはいかない。

田中さんと付き合っていることを伏せ、最大限話せる内容で打ち明けていった。


「すみません。……実はその、ある人のことでずっとモヤモヤしておりまして……」


言葉を選ぶように話すと、真由子さんは少しだけ首を傾げた。


「ある人っていうのが気になるけど、まぁそこは敢えて聞かないわ。……で? なにがモヤモヤしているわけ?」

「それは――その、その人のことを信じたいんですけど、信じられない要因が見つかってしまったというか……」


全てを打ち明けられないのがもどかしい。

田中さんと付き合っていることも、田中さんが灯里ちゃんを見るあの眼差しのことも、全部打ち明けることができたら、それだけでどんなにスッキリするか……。


でも田中さんと約束したもの。
その約束を破るわけにはいかない。


それでもどうにか真由子さんに、今の私のモヤモヤする気持ちを理解して欲しくて必死に伝えていく。
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