カタブツ上司に愛された結果報告書
「変に思われちゃったよね、絶対……」


やっと呼吸が落ち着くと、見つめてしまうのは我が社のオフィスが所在してあるビル。

田中さん、仕事に戻ったよね。


彼のことだ。
気持ちを切り替えて仕事に打ち込んでいるに違いない。


それでこそ田中さんだと思うけど、私としてはちょっぴり切ない。


そこはやはり気にして欲しいと、またわがままな想いを抱いてしまう。


田中さんを好きになってから、毎日がドキドキだった。

会社で会えるだけで嬉しくて。彼と付き合えたら、どんなに幸せだろうと何度思い描いたことか。


それが今、現実となったというのになんでかな?

誰かと付き合うってこんなに難しいことだった? うまくいかなかった?

考えれば考えるほど分からなくなる。


好きで想いが通じ合えたのだから、単純に幸せな毎日が待っているはずなのに、どうしてだろう。
昔のようにうまくいかない。

田中さんには自分の気持ちがうまく伝えられない。
臆病になってしまう。……嫌われるのが怖い。
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