カタブツ上司に愛された結果報告書
『それとも昨日、カレと話せなかったの?』

心配そうに問いかけられ、慌てて返事を返した。


「いいえ、そういうわけではなくてっ……! ただその、彼は仕事が忙しい人でして。今日も遅くまでかかると思うので、真由子さんにお願いできると助かります」


ぎこちなくなりながらも説明すると、どうやら納得してくれたのか電話越しから『分かったよ』と聞こえてきた。


『じゃあ仕事が終わり次第向かうから。上にも私から話しておくけど大丈夫?』

「すみません助かります。よろしくお願いします」


軽く頭を下げ電話を切ると同時に漏れてしまうのは、大きな溜息。


迷惑かけちゃったな……色々と。


仕事はもちろん、プライベートなことでもお世話になってしまうのだから。


慣れない車椅子の操作に四苦八苦しながら、病室へと戻っていく。


先輩たちには申し訳ないけれど、このタイミングで入院になったのはよかったのかも。
田中さんと顔を合わせずに済むのだから。


モヤモヤした気持ちは一向に晴れないし今、田中さんとふたりっきりになってしまったら、うまくやり過ごす自信がないもの。

昨日みたいに問いかけられたら、思わず言ってしまいそうだ。
自分の感情全てを――。

そんなことしたら嫌われちゃうと分かっていながら。
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