カタブツ上司に愛された結果報告書
そんな私にこの入院はありがたいものだ。


退院するまでに気持ちの整理をつけよう。
これからも田中さんの彼女として、ずっとそばにいるために――……。


「田中さんには、今日の夜連絡すればいいよね」


車椅子を操作しながらひとり言を呟いてしまう。

今日は大事なプレゼンがあるって言っていたし。
それに正直、今はまだ会いたくない。


好きなのに会いたくないなんて、変な話だ。


自傷気味に笑いながら、自室へと戻っていった。



「……どうしよう、退屈だ」


時刻は午後十三時過ぎ。
昼食を済ませなんとなくテレビを見ていたものの、時間を持て余してしまう。


普段なら今頃昼休憩が終わり、仕事をしている頃だ。


「なんで個室しか空いていなかったんだろ」


これで同室者がいれば話は違ったのかもしれないけれど、あいにく相部屋は満室。

別料金が発生してしまう個室しか空いていなかったのだ。
< 126 / 163 >

この作品をシェア

pagetop