カタブツ上司に愛された結果報告書
突然の行為にあたふたしてしまう。


「美海から連絡をいただけなかったことも、美海に一番に頼っていただけなかったことも。……私はあなたにとって、そんなに頼りない存在ですか?」


切実に訴えてくる彼に、心臓がギュッと締め付けられる。


「そんなことあるわけないじゃないですかっ」


握りしめられた手の力を強められた瞬間、咄嗟に声を荒げてしまった。


そんなことあるわけない。
それどころかそんな風に言ってもらえて、嬉しいとさえ思えてしまう。


「ではどうしてですか? ……いや、今回だけじゃない。私にはあなたの気持ちが分からないです」

「――え?」


なにそれ、どうして?


田中さんは私の手を強く握りしめたまま、苦しそうに表情を歪め話し出した。


「最初から不安でした。あなたから告白されたときからずっと。……歳が九つも離れている私のことを好きだと言ってくれて嬉しかったです。……年甲斐もなく出会ったあの日からずっとあなたに惹かれていたので」


「……うそ」

信じられない話に声が漏れてしまう。

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