カタブツ上司に愛された結果報告書
「まぁ、代表の耳に入りからかわれるのが嫌だったというのもありますが。あなたにいい格好したかったのです。年上の男として、仕事面だけでは。……あなたに嫌われたくなくて、連絡するのにも躊躇していました。会話が続かなくなり、あなたに面白くないと思われそうで怖くて」


「そんなこと……」


予想だにできなかった田中さんの本音に、耳を疑うばかり。


正直、今も信じられない。
田中さんがそんなこと思っていたなんて。

けれど握られた手から伝わるぬくもりや、目の前にいる田中さんから見て、とても嘘を話しているようには思えない。


それじゃ本当なの? これが田中さんの本音……?


「昨夜、あなたの様子がおかしかったことに気づいていながら、勇気が出せず連絡しなかった自分に後悔しました。いつまでもあなたに嫌われるのを恐れて、本音を伝えなかったことに」


「田中さん……」

「あなたの入院のことを聞いたら、居ても立っても居られず、代表に全て仕事を丸投げして来てしまいましたよ」


クスリと笑いながら話す彼に、ギョッとしてしまう。


「えっ! だっ、大丈夫なんですか!? 大事なプレゼンですよね!?」
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