カタブツ上司に愛された結果報告書
疑問に思っていると、テレパシーで伝わっているかのようにその答えを彼は話し出した。
「迂闊でした。美海と同い年の灯里さんにさり気なく、いつもどこに遊びにいらっしゃっているのか聞いたのが間違いでした。勘付いた彼女に尾行されているのにも、気づきませんでしたしね」
「尾行ってあの日ですか!? 灯里ちゃんが!?」
「はい。ご婚約者の佐々木様を巻き込んで付けられていたようです」
そうだったんだ、全然気付かなかった。
でもそれはちょっと惜しいことをしたかもしれない。
見てみたかったな、噂の灯里ちゃんの婚約者さんのこと。
ちょっぴり残念に思っている最中も、田中さんは話を続けた。
「早速尋問されましたよ。……そこで思わず本音を漏らしてしまったのです。どうやったらあなたに心を開いて頂けるのかと。多分それを聞いて、そのような虚言を美海に言ったのかもしれませんね。あなたが私に本音をぶつけるように」
「そう、だったんですか……」
灯里ちゃんってば、そんなことを思って……。
彼女の優しさにジンときてしまっていると、「変なところは兄妹似ていて困ります」と愚痴を漏らす田中さんだけど、私にはこう聞こえてしまった。
“だからふたりのことが大切なんです”と――。
「迂闊でした。美海と同い年の灯里さんにさり気なく、いつもどこに遊びにいらっしゃっているのか聞いたのが間違いでした。勘付いた彼女に尾行されているのにも、気づきませんでしたしね」
「尾行ってあの日ですか!? 灯里ちゃんが!?」
「はい。ご婚約者の佐々木様を巻き込んで付けられていたようです」
そうだったんだ、全然気付かなかった。
でもそれはちょっと惜しいことをしたかもしれない。
見てみたかったな、噂の灯里ちゃんの婚約者さんのこと。
ちょっぴり残念に思っている最中も、田中さんは話を続けた。
「早速尋問されましたよ。……そこで思わず本音を漏らしてしまったのです。どうやったらあなたに心を開いて頂けるのかと。多分それを聞いて、そのような虚言を美海に言ったのかもしれませんね。あなたが私に本音をぶつけるように」
「そう、だったんですか……」
灯里ちゃんってば、そんなことを思って……。
彼女の優しさにジンときてしまっていると、「変なところは兄妹似ていて困ります」と愚痴を漏らす田中さんだけど、私にはこう聞こえてしまった。
“だからふたりのことが大切なんです”と――。