カタブツ上司に愛された結果報告書
緩々に緩んでしまう口元でお礼を言い受け取ると、田中さんもまた少しだけ唇の端を上げ微笑んだ。


「おいおいおいおい!! 俺もいることを忘れないでくれたまえ! それよりも田中!! そこは俺が座っていた席だぞ!? どうしてお前が座るんだ!」


わなわなと身体を震わせ田中さんを指差す代表。

そんな代表を気にする素振りなど見せず、田中さんは自分の分の缶コーヒーを取り出し、冷めた目で代表を見据えた。


「そもそもおかしな話ではありませんか。ここは代表が気を利かせて私達をふたりっきりにさせるべきでは? それにこの席に座るのは代表ではなく私です」

「なんだとっ!?」


「代表がお飲みになりたがっていた珈琲を買ってまいりましたので、これを持って会社にお戻りください。お仕事が山のようにたまっておりますので」


熱くなる代表と至って通常運転の田中さんの攻防に、見ているこっちがハラハラさせられてしまう。


「そんなに言うなら帰るぞ!」


「ご冗談を。おひとりでお先にお戻りください。私はたんまりと溜まっております有休を消化させていただきますので」

「……っ!!」
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